片山祐輔に続いてこの男、渡邊博史もまた社会への復讐を果たしたのだろう。

自分を迫害した世間、社会に対して見えない力で恐怖に陥れようとしたのだろう。

そうならばこの戦いに勝利したと思えるが、結局捕まったのでこの男の言うとおりに「負けてしまった」のである。

片山祐輔も加藤智大、佐賀バスジャック犯も渡邊博史もまた世間が作り出した怪物である。

その世間が作り出した怪物を制御するのが皮肉にも世間が信託した「法律」である。

法律しか彼ら罪人に味方しない。

警察や検察や司法関係者はよく判っているのだろう。

世間は偏見塗れで誰も庇ってはくれない。

弱い者を虐めて成り立つ社会である。

何度も言うようだが恋と選挙とチョコレートでは弱い者を虐めて皆が仲良くなるという衝撃的なことを公にしてしまったのだ。

でもこれは皆が判っていることである。

渡邊博史にも救いの手があったかも知れない場面があったようだ。

だがそれを本人が切ってしまった。

天秤にかけようがなかったのか。

僅かな救いを自ら切ってしまったのである。

蜘蛛の糸を思い出してしまった。

地獄に堕ちても希望を捨ててはいけない。

そして皆が救われる社会を目指すべきである。


蜘蛛の糸
芥川 竜之介
2012-09-27

 
蜘蛛の糸・杜子春 (新潮文庫)
芥川 龍之介
新潮社
1968-11-19

 

 

 
解 (Psycho Critique)
加藤 智大
批評社
2012-07

 

 
劇場版 Fate/stay night UNLIMITED BLADE WORKS (初回限定版) [Blu-ray]
杉山紀彰
ジェネオン・ユニバーサル
2010-09-30