先代のスネ夫の声優を務めた肝付兼太が先日亡くなった。

80歳であった。

たてかべ和也に白川澄子とドラえもんの声優さん達も段々と鬼籍に入ってゆく。

こうした現実を受け容れなければならない。

アニメがロングランになるとレギュラー声優の高齢化が出て来る。

ドラえもんはもう十年前になったが、声優の入れ替えを行なった。

高齢化に伴い、声優さん達の体調や声質の変化が出て来てしまう。

ルパン三世も声優を入れ替えた。

しかし、サザエさんやちびまる子ちゃんは声優の入れ替えを行えなかったから視聴率が下がったとみて良い。

改革と言うか、刷新を行えなかったフジテレビが悪いのだが、ちびまる子ちゃんでは友蔵の声の人が3回も入れ替わっている。
水谷優子は不可抗力であろうが、殆どが50代である。

声が変わる事でイメージが変わってしまって既存の視聴者が離れてしまうという虞からか、断行出来ずにズルズルと引きずってしまう状況が続く。

あるいは、一層の事終わらせるべきなのだ。

こち亀は終わらせてしまった。

理由はここでは追わないが、ある程度の見切りを行わないとズルズル引きずって組織そのものの壊死を招いてしまう。

後継に引き渡すべきである。

しかし、声優として天寿を全うする声優もいるが、その声優を途中で辞めざるを得ない人も出て来ているのも現実。

名前を挙げればきりがないのだが、供給過多になっているような気がしないまでもない。

アニメも年間何百本と作られるが、大体決まって旬の声優が起用される。

特に女性声優の消耗は激しいと言わざるを得ない。

オタクが多いから女性声優の需要も多いのがこれまた事実なのだが、彼等が十年後も同じように続けていられるかどうかは怪しい。

清水愛は声優を務める傍ら、プロレスラーになってしまった。

また、女子プロレスラーも今人気なのかどうかは全然把握出来ないのだが、これは寿命が短くて五年で入れ替わるという。
ちょっと前まで新人だった宝城カイリなんか最早スターである。

女性声優は声が余り低くない特性からか、男女の区別なく子役も務められるが、それでメインになるかどうかも怪しい。

今の時代、少子高齢化なので子役は最早端役扱いである。
新人が子役をやる事はなく、ベテランが務める事が多々ある。

天寿を全うする前に半ばにして辞めていく声優さんのプロフィールを覗くと、主役級ではなく端役脇役が殆どで年間の数の少なさに驚かされる。

アニメが全てではなく舞台や演劇や朗読などの仕事はあるのだろうけれど、段々と仕事がなくなっていくか、声質が変わってこれまでの役を演じる事が難しくなっていくという事情があるようだ。

この辺りは芸能界と同じである。

大塚明夫が声優を目指すべきではないと言うような本を出していたようだが、現実が横たわる。

挌闘技の話に置き換えれば、RIZINの出場選手の殆どがPRIDEの頃の選手を出していてROZIN(老人)と揶揄される程のカードしか出せていない状況とは別に新生K-1ではヘビー級や中量級の高齢化を除き、平成生まれ以降の若い選手が多く出て来ている。

アニメも同じなのだろう。
老舗のロングランアニメは顧客を離れさせたくないから高齢化した役者を変えられずにいるのに対して、最早刷り散らかしとも思える深夜アニメではCD売らせる為に事務所とタイアップした若い声優達がバンバンと出て来たりする。

これが、アイドル化とも揶揄されるのであろう。

マクロスやラブライブなどはバンバンと売り出す為に技術が中途半端でもリリースされているようだ。

声優だけでなく地下系アイドルグループも事務所が囲うためにバンバンと雨後の筍如く出て来ている感じもする。

プロレスに例えれば、新日本プロレスを脱退した選手が多くて、穴埋めするために前座だった若手レスラーを闘魂三銃士として売り出した感じに似ている。

事情が違うので一概にこれだとは言えないのだが。

ラノベに例えれば、売り出すために新人賞の連発でデビューさせるようなものだろうか。

粗製濫造は十年前のアニメで行われていた。
それで作画崩壊を度々起こしてアニメファンを落胆させた事が何度も繰り返された。

声優をバンバン売り出すのはいいのだろうが、その後のフォローが余りないような気がする。

それが今の状況になりつつあるのではなかろうか。

声優魂 (星海社新書)
大塚 明夫
講談社
2015-03-26